個人面談はPDCAでいうと、週次や月次で行う個人の計画・評価・改善になります。
個人面談を嫌がる院長は少なくありません。
お気持ちは分かります。スタッフからマイナスな言葉を投げかけられれば、その後の診療に差し支えるからです。
しかも個人面談に費やす院長の時間は決して少なくありません。一人30分としても10人スタッフがいれば、5時間かかります。
個人面談は出来れば全スタッフを院長が行うのが望ましいのですが、スタッフ数が10人以上になると、全員と個人面談をするのは大変かもしれません。
そのような場合、院長はまずは管理職とだけ個人面談を最低でも半年間は行い、院長と管理職の間でビジョンや価値観を一致させると共に、管理職に対して個人面談のやり方を教育します。
そのうえで管理職に個人面談を任せるようにして行きます。
個人面談で毎回繰り返すべき効果的な質問には次のようなものがあります。この質問に対する回答を個人面談前にスタッフ本人に記述してもらい、院長はそれを読んだ上で個人面談をすると効果的です。
「貴方の医院(又は所属するチーム)の具体的な目標を数字で教えてください」
「貴方自身の院内での目標数字と役割を具体的に教えてください」
「貴方が目標達成するために要求されている業務水準と現在地をお知らせください」
「貴方が目標達成する上で障害となること及びその対策についてお知らせください」
「貴方が目標達成する上で院長に止めて欲しいことと支援して欲しいことを教えてください」
これらの質問の回答の質にスタッフの自立度は比例します。少なくとも医院の管理職スタッフは、明確な答えが書けていなければなりません。
しかし歯科医院のほとんどのスタッフは組織のビジョンや目標を知りませんし、
自己の目標さえも明確になっていません。
更に目標を達成するために必要な業務レベルと自分の現在地を理解していません。
そして過去に努力して目標を達成した経験が少ないスタッフは、
目標を阻む障害に対する想像力が欠けています。
予想外のアクシデントが起きると、乗り越えることが出来ず、挫折する可能性が非常に高いでしょう。
その予測と対策を事前に計画しておくことで、目標達成型人材が育成できます。
最後に上司に止めて欲しいことと支援して欲しいことが明確に記載されていれば、貴方は院長として何を止めるべきか、支援すべきかが分かります。
これらの質問に対してスタッフから望むような答えが返ってきたとき、あなたはスタッフの成長を実感でき、院長不在でも回る歯科医院になっていることでしょう。
個人面談も基本的にはMTGと一緒で、事前に目標と議題が共有化された状態で臨み、次回への実行計画を明確にしてから終了します。
院長の発言は半分以下に抑えます。
スタッフが建設的な発言を多くするようになるためには、院長側のコミュニケーションの悪い癖の改善、スタッフの考え方教育の充実、目標と議題の事前共有がポイントです。
個人面談の質が高まると、最高の教育研修会社のセミナーから得られる教育効果の質をはるかに凌駕します。
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著者プロフィール

ホワイトエッセンス株式会社
代表取締役 坂本 佳昭
日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。