教育の悩みは、院長にとって売上利益の悩み以上かもしれません。
- 逐一指示をしないと主体的に動いてくれない受身のスタッフが多い。
- スタッフの育て方が分からない。
- 長続きせず、直ぐに退職するスタッフがいる。
- スタッフに対して根本で期待してないというか諦めの気持ちがある。
- スタッフに不満があるけれども、退職されると困るので我慢をしている。
歯科医院スタッフへの教育難易度は年々増しています。それは近年、歯科医院スタッフに対して、分業制の能力、知的労働力、コミュニケーション力の3つが急激に求められるようになって来ているからです。例えば歯科衛生士に診療補助業務だけをしてもらうのであれば教育の難易度はそれほど高くないでしょうが、歯科衛生士に患者様ユニットを担当してもらい予防歯科を分業化していこうとすれば、院長先生には教育スキルが必須です。
一方で補助業務だけをさせていれば優秀な歯科衛生士ほど離職してしまうでしょう。
歯科助手の対応領域の広がり
歯科助手の仕事についても今日の歯科医院経営では、以前よりも診療領域の幅が広がり、様々な医療機器、コンピューター、取り扱い器材の種類も格段に増え、覚えることが多くなっています。これまでのように体で覚える仕事だけでなく、頭で覚えたり、頭をつかいながら判断する仕事が増えたことにより、勉強や思考することが好きでないスタッフは仕事が覚えきれず辞めてしまうケースが少なくありません。
更に接遇力も求められます。表4は患者さんに対する調査結果で、先ほどと同様にNPO地域経営改善研究会が平成20年に調査したものです。接遇マナーが良いと感じた割合と、新患数の増減についてです。接遇が良いと感じた医院ほど新患数が増加しています。
院長が逐一指示を出して、自分では思考せず、無表情な態度で淡々と診療補助をこなすスタッフばかりの医院は、もはや患者様から選んで頂けません。
患者様から求められる医院としてあり続けるために、スタッフ教育においては、歯科知識や技術はもちろんのこと、スタッフの知的思考力の開発と接遇力向上も必要になってきているのです。

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著者プロフィール

ホワイトエッセンス株式会社
代表取締役 坂本 佳昭
日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。