歯科業界の変化を知り、集客力を強化する!
最近、新規集客数が落ちてきたと感じられる先生は多いのではないでしょうか?
その原因は、歯科業界を取り巻く環境が大きく変化していることにあります。
集客力アップのために、まずは原因を知ることが重要です。
歯科業界を取り巻く環境の変化
〈寡占化〉
今、日本では寡占化が急速に進んでいます。
寡占化とは、規模のおおきな組織に顧客や労働者が集中し、
規模のちいさな組織に、人が集まらない状態を意味します。
周囲でも、個人商店が減少し、
代わりに大型チェーン店の増加が目立ちませんか?
日本の小規模事業組織は
2000年初めには約423万社あったのに対し、
2014年には約325万社と100万社近くも減少しています。
寡占化の進行は歯科業界も同様です。
歯科医院の平成23年と平成24年の平均売上額の比較調査によると、
平成23年に年間売上が1.5億円以上の医院は、
平成24年の売上が増加しているのに対し、
年間売上1~1.5億円の医院では横ばい、
それ未満の売上の医院では減少していました。
つまり、規模の大きい歯科医院は売上を伸ばし、
規模が小さな歯科医院は衰退していく傾向にあるという見解もできます。
また、売上1億以上の歯科医院数は
2000年頃には全体の3%だったのに対し、
現在は8%以上にまで増加しています。
歯科業界にも寡占化の流れが来ているということです。
〈人口が減り世帯数が増えている地域の増加〉
人口が減り世帯数が増えている。
つまり、ファミリー世帯が減少し、シングル世帯、子供を産まないディンクス世帯が
増加している地域が増えてきています。
10年前の歯科医院経営では、地方のロードサイドで
保育士の常駐、大きなチャイルドルームの設置という
ファミリー型歯科医院が全盛期でしたが、
ファミリー世帯が減少している地域では、今後このようなスタイルの歯科医院経営が
難しいのは明らかです。
もちろん、ファミリー型歯科医院が
今後も経営できる地域も少なからずあります。
重要なことは、
地域の人口数や世帯数がどのように変化していくかを予測し、
地域ニーズにこたえられる医院経営の戦略を立てることです。
人口数や世帯数の変化は市町村のHPで確認できます。
市役所に行けば、都市計画書も見ることができ、
今後の交通、道路の変化や大企業の招致計画、
大型ショッピングセンターの建設予定が分かります。
これらを勘案し、地域ニーズに合った
医院経営の形態と診療メニューを選択することが必要となります。
人気歯科メニューの変化
歯科医院の中心メニューはう蝕と歯周病の治療です。
う蝕治療と歯周病治療は今後どのようになるのでしょうか?
12歳児1人当たりの平均う蝕歯数は、
平成元年で4.30本、平成29年で0.74本とおおよそ1/6まで減少しています。
参照:歯科業界の現状と今後の動向
子供のう蝕が減少しても、成人になるとう蝕が増えると
考える院長先生もいらっしゃいますが、成人のう蝕数も減少しています。
上図は厚労省による「歯科疾患実態調査結果の概要」から抜粋したデータです。
平成5年と比較して平成28年では、35歳以上のう蝕歯数は約2割減少しており、
34歳以下になると5割以上減少していることが分かります。
続いて、歯周病はどうでしょうか。
上図も厚労省によるデータであり、歯周病疾患率の経年比較となっています。
赤枠内の75歳以上の高齢者は歯周病の罹患率が右肩上がりとなっていますが、
これは残存歯数の増加に伴い、歯周病認定も増えているためです。
一方で、64歳までの生活者は歯周病疾患率が右肩下がりとなっており、
あらゆる年代で歯周病疾患率が減っていることが分かります。
つまり、これまでの歯科医院の中心メニューであったう蝕治療と歯周病治療の対象者が
大幅に減少しているということです。
これを踏まえて厚労省の見解として小児・保存・補綴は今後減少すると予測しています。
一方で、今後ニーズが増加すると見込まれている診療メニューとは何でしょうか?
中央社会保険医療協議会の発表では、
・高齢者向けに行う訪問歯科診療
・口腔機能の回復ではなく、審美や矯正といった健康者を対象とする歯の形態の回復
のいずれかであると結論付けています。
高齢者の増加に伴い、訪問歯科診療のニーズは大きくなっています。
社会課題の解決という側面、
う蝕や歯周病の減少に伴う集客力減少に対しての一つの打開策の側面も持ち合わせます。
しかし、スタッフ採用という視点で考慮すると課題は残ります。
審美歯科はスタッフ目線でも人気が高いのが特徴です。
近年、審美歯科の中でもホワイトニングや矯正のニーズが特に高まってきており、
これらのメニューはう蝕や歯周病の無い健康者も集客することができるという大きなメリットがあります。
さらに、審美メニューを受けることで口腔内への意識が高まるので、
予防目的でのリピート化に繋げやすいという特徴もあります。