歯科医院経営の本質

顧客満足と収益UPは比例するのか?

欠けているものを補える何か?とは

数年前の夏真っ盛り、私はワイシャツを汗でビショビショに濡らしながら、美容院、リラクゼーションサロン、ブライダルサロン、スポーツジム、ネイルサロン、エステ、整骨院等の美容や健康に関する企業に対して営業訪問を繰り返していました。狙うべきは、何店舗もチェーン経営している美容・健康企業の本社です。秋、冬、春と季節をめぐり、ときどき休止期間を挟みながらも、それは約1年間続くことになります。

「ふーん 面白そうなビジネスですね・・・ ですが今は忙しいので」
「ウチでは全く必要ないです(ピシャリ!)」
「へー こんな商売あるんだ!」

事前に電話でアポ取りをしてから伺っているのですが、相手の反応はほとんどの場合冷ややかです。それも当然のことかも知れません。何故ならば、私の訪問目的は「貴方様の会社のお客様を私たちホワイトエッセンスにご紹介いただけないですか?」という、とんでもなく都合の良い提案だからです。
むろん、相手企業に対するリターン条件も提示しますが、何店舗も経営している実績と信用のある企業からしてみたら、「知らない会社に自分たちの大切なお客様を紹介できるわけがない。何か事故が起きたら、紹介した自分達の責任になる」と考えるのが当然です。

ホワイトエッセンスには、美や健康に対して関心が高く、自費で来院するお客様が沢山いらっしゃいますから、そこに魅力を感じた相手企業様の方から提携依頼をしてくることも少なくありません。しかし本当に良い提携先を探すのであれば、こちらから行動することが大切だと思っています。「えっ社長自ら営業しているんですか?」と驚かれることもあります。

当初は集客目的で始めた営業訪問活動でしたが、継続するうちに、もっと大きな財産を手に入れることができました。
それは私の中でこの数年間、探しても見つからなかった答えのようなものです。
それが足らないがために、常に何かが心に欠けているような気がしていました。
あなたは仕事を通して、そのような気持ちになることは無いでしょうか?

その答えは創業した時のようなワクワク感なのか?と自問しましたが、そうではなさそうです。私が手に入れることができたもの、欠けているものを補える何か?とは、「お客様を喜ばせたいという気持ち」です。
これを、人一倍持っているつもりでいましたし、実践しているつもりでいました。
しかし、私は「顧客満足」の姿勢と実践が、圧倒的に足りていないことに気がつきました。

モチベーションを高めるための最高の手段

多くの会社に営業訪問し、一般社員の方から、管理職、経営層まで段々と面談のステップを踏んでいくと、その会社の雰囲気とか、実情がものすごく分かるようになります。
有名で大きな会社であっても、数字が下降傾向にあったり、社員の方に覇気がないところもあります。逆にこの不況の中で急成長を見せているところもあります。そういう企業は社員の顔が活き活きとしており、お客様のほうを向いて仕事をしているというのが圧倒的に伝わってきます。

「顧客満足」というのは使い古された言葉であり、時々空気のようにスルーしてしまいそうになります。若い時分の私は、顧客満足が第一と言っている人を「キレイごとばかり言って、あんたは仙人か!」と腹の底では思っていました。

顧客満足を追求すれば必ず収益結果が伴うのか?といえば、私は、短期的には「No!」、長期的には「Yes!」だと思います。
顧客満足の概念と実践が社員にしっかりと浸透するのに数年、更にお客様に認めていただくのに数年かかります。また原価割れした過剰サービスによる自己満足的な顧客サービスをしていたのでは組織自体が持ちません。
目先の売上を上げるだけならば、はっきり言って、もっと簡単なマーケティングテクニックがいくらでもあります。ですから、経営者が顧客満足を売上向上の手段として捉えていると、いつまでたっても顧客満足を目指す組織風土が出来上がってきません。

では何故、顧客満足度を追究したほうが良いのかといえば、立場が経営者であっても、社員であっても、顧客満足の追求こそが、自分のモチベーションを高めるための最高の手段であり、組織を長期的に存続させるためにも最も重要な要素だと思うからです。

お客様に沢山喜んで頂けるから、自己重要感が満たされ、自信が持てるようになります。

お客様に沢山喜んで頂けるから、自分の仕事に誇りが持て、所属している組織に愛情が持てるようになります。

お客様に沢山喜んで頂けるから、もっと喜んで頂こうという気持ちになり、利己性が減り、利他の気持ちが強くなっていきます。

そういった意味で、組織は顧客満足を目指す社員を育成する養成所としての役割も担っており、それが一つの社会貢献へとつながっていくものと思います。

逆に、顧客満足度を追究していかないと、自分に罪悪感が出てきて、やる気を失ってしまったり、社員が利己的になりやすく、そういう社員とは口を利くのもイヤになってしまい、そうすると経営者が孤独に一人で頑張り続けるしかなくなります。

顧客満足という倫理観

次々に新しい技術やマーケティング手法を導入し、平均的な歯科医院よりもずっと高収益でありながらも、深く悩んでいる院長を私は沢山知っています。

院長だけが忙しく、スタッフたちがやらされている感一杯であったり、自分の給与やスキルアップのため(自分満足のため)に仕事をしているスタッフばかりの組織というのは、どんなに収益が高くても経営者としての幸せ感が得られません。
怠け者の私としては、そのような状況は極力避けたいので、自分が楽をするためにも、顧客満足を追求する組織をつくっていくことが王道であると思うようになりました。
つまり顧客満足という倫理観が共有化されていないと、仕事を任せて役割分担化ができないのです。

私はときどき油断したり、体調がさえないと、自分の中で顧客満足よりも売上利益の拡大に意識が向いたり、もっと楽をしたいなーと思う感情が芽生えてきます。傲慢な自分、怠惰な自分の感情を律して、社員に徹底化していくのは並大抵ではありません。

人は本来、自己満足や自己成長のみを願う利己的な生き物ではなく、誰かの役に立ちたいと思っており、相手が喜んだときに、自分が喜ばしてもらう以上に豊かな感情を得ることができます。
お客様満足を追求する組織風土を作り上げていくことは、経営者や社員の心を健康にしていく上で大切です。

私が、この営業提携訪問を通じて得られた最も大きな財産は、「顧客満足の組織風土をつくること以上に重要な経営者の役割は無い」ということです。

そのためには顧客満足の仕組みづくりが重要であり、私共ホワイトエッセンスがどのような取り組みをしているのかについて当ウェブサイトにて発信してまいります。

著者プロフィール

ホワイトエッセンス株式会社
代表取締役 坂本 佳昭

日本最大の審美歯科チェーン「ホワイトエッセンス」の創業者。最新刊「院長依存から脱却できる医院組織のつくり方」を始めとし、執筆、取材、講演実績多数。

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