院長の自己防衛が強いと成長できない - 歯科医院経営講座~次のステップを目指す歯科医師のための~

院長の自己防衛が強いと成長できない

自己防衛が強い人は
根っこの所で自信が無い

私がこの仕事を始める前、
「歯科医師はプライドが高いから......」
という言い方をする方が多くいました。

知り合いの会計事務所で、
そこには職員が100人くらい在籍しています。

彼らは様々な業界を担当していますが、
そこの幹部は、

「職員の多くが歯科開業医の担当を避けたがる。
それはプライドが高いから」といいます。

本来プライドの日本語の意味は「誇り」です。
誇りは高いほうがいいのですが、

恐らくここでいうプライドとは
高飛車的なニュアンスで
解釈されているのだと思います。

そういう意味であれば、
私の知っている開業医の方達は、
謙虚で物腰柔らかく紳士的な方ばかりで、
世間の印象は間違っていると思っていました。

しかし沢山の歯科医師の方々と
長年関わっていくうちに、

プライドが高いというよりむしろ、
自己防衛の強い方が少なくないと
感じるようになりました。


自己防衛が強いと、
他者評価を素直に受け入れたり、
本当の自分の実力や人格的な課題点を
認めることを恐れます。


そのような方は一見すると社交的で、
謙虚であったとしても、

「何一つ否定されたくない!」オーラが
出ていることが多々あります。

口癖は「私はあなたに対して
そうは思っていないけど、

(他のスタッフ、税理士、取引先など)が
そう言っていた......」、

「ウチは立地が良くないから......」、

「スタッフが直ぐに辞めるのは私が原因ではない」、

「それはあなたのせいだ......」など、

他責発言の連発です。

また時には自分の正当性を主張するために
相手に対して皮肉を言う方もいらします。

自己防衛が強い人は根っこの所で、
自信が無いのです。

だから、常に尊敬されなければならない、
ミスをしてはいけない、
相手に負けてはいけないと思っています。

これでは自分の成長を止めるだけでなく、
相手からの信頼を失ってしまいます。


しかし本人はただ単に
弱い自分が傷つかないよう
必死で自分を守っているだけで、
このことに本人は無意識なのです。

院長がスタッフとのコミュニケーションを恐れる理由

スタッフとの関係において、
院長がスタッフとのコミュニケーションについても
この自己防衛が障壁となることがあります。


それはスタッフに自分のことを
否定されたくないという気持ちです。

それを避けるために
スタッフと極力会話を避けるか、

逆にスタッフに対し
一方的に要求を突きつけるようになり、

それがスタッフとのコミュニケーションの溝を
深めてしまうのです。

心理学では、過剰な自己防衛も
自己愛の強さから来ているといわれています。

思春期に学業成績のみで親から評価されたり、
兄弟と比較されたり等、

親の愛が無条件の愛ではなく、
条件付きの愛を受けて育つと、

「優秀でなければ愛されない」、
「失敗すると嫌われる」という意識が
強く働きやすくなります。

また逆に親が子供に過干渉だと
子供の自立を阻害し、
自信の無い大人になってしまいます。

その結果、自分の欠けている点に蓋をし、
そこを開けようとする他者を
敵と見なしやすくなります。

その反応が、相手を無視することだったり、
皮肉や感情的になって
相手を攻撃することとして現れます。

あなたに正論を言ってくれる助言者はいるか?

私がこれまでお会いした方の中で
長期的に成功されている方の特徴を
一つだけ上げるとしたら、

「自分の悪いところを
是非教えてくれ!Welcome」の
態度を取れる方です。


つまり自己防衛ゼロで、
裸の自分を見せることが出来る方です。

私もそうありたいと思い、
現在4人の助言者がいるのですが、

そのうち3人は自分よりも
一回り以上年が離れた若者です。

年長者よりも若者のほうが
貴重な意見を持っているからです。

しかし最初から
率直に指摘してくれるわけではありません。

多くの場合、彼らは最初遠慮がちです。

だから私の方から
「どこを直せばいいのか」を何度か求めます。

こちらに聞く耳があると分かると
遠慮が無くなり、
ズバズバ指摘してくれます。

その発言を受けて、
時には傷つくこともあります。

しかしお金では買えないくらいに
貴重な助言が混ざっています。


そしてその情報の価値よりも、
そういう態度を取れることが、

自分の度量を大きくしていくうえで
大切な習慣だと自分に言い聞かせています。


そうして彼らとは年齢を超えた深い関係で
結ばれていくようになりました。

我々経営者は日々の忙しさの中で漂流し、
現在位置を見失いがちになります。

しかし自分の現在位置を知らなければ
いつまでもゴールできません。

あなたは、周囲に
あなた自身やあなたの組織の課題点を
率直に言ってくれる助言者がいるでしょうか?


経営者には客観的な視点で、
時には歯に衣を着せず、
正論を言ってくれる助言者を求める姿勢が
大切だと思います。

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